【コラム】蟻と蛇と畦道
2019年07月27日
木組みの技について、ちょっとしたうんちくをご紹介します。
二つの部材を直角または斜めに組み合わせる場合の接合を「仕口」と言いますが、その代表例が写真にある『蟻かけ』です。部材の一方を蟻の牙のような台形にすることからそう呼ばれますが、なぜそんな名前がつけられたのか。
ほかには『鎌継ぎ』の鎌は蛇の鎌首が由来とされ、溝を切るために使う『畦挽鋸(あぜひきのこ)』は、田んぼの畔道が由来なんだそうです。
こうした技術や道具に身近な生き物などの名前をつけるのは、徒弟制度が当たり前の時代に、弟子入りしたばかりの小僧でも覚えやすいようにするためと言われます。読み書きも満足にできない子供に、正しくわかりやすく仕事を教えるために親方たちが工夫し、小僧たちは生き物を思い浮かべながら仕事を覚えていきました。
ちなみに、蟻がつく呼称は多く、蟻首、蟻継ぎ、蟻差し、蟻止、雇い蟻、吸付き蟻などがアリます。
posted by Fuji at 9:06 AM