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【コラム】唐紙のこと

2021年01月23日

唐紙はいわば襖紙のことで、京唐紙と江戸唐紙がありますが、歴史、伝統、技術の集積から京唐紙の存在感が際立ちます。この京唐紙を取り入れた最初の家は「木組みの空に雲を見つける家」で、新居に似合う襖紙をオーダーするため、施主様と建具屋さんと3人、京都まで行ってきました。

さて、唐紙の意匠性、デザインのいまどき感は写真をご覧いただくとして、その最大の魅力は、経年変化から時のうつろいを楽しむということのような気がします。

『からかみ』を象徴する材料に雲母(きら)がありますが、これを絵具に文様を刷ると、それは光量や光の角度で輝きを変えます。紙と刷色を淡い同色にした場合、日中の正面からの光では文様はあまり目立ちませんが、月明かりなどでは雲母の文様が浮き上がり輝くのです。つまり、雲母刷りの『からかみ』は時間により違った美しさを見せます。

また純銀箔押による場合、銀は硫化反応で鈍い光を帯びるので、長い年月での変化が楽しめます。「いぶし銀」とは、渋みや趣深さをいう言葉ですが、純銀箔押の唐紙にはまさにそうした魅力があります。

住宅建築では新築時の美しさをいかに長く保つかが重要なテーマになっていて、使われる素材の性能は日進月歩です。その一方で、唐紙や無垢材は環境や使い込まれることで見た目や質感が変化し、一定性や永続性はありません。確かに新しいものは美しく見えます。しかし長く使い込めば見た目は変化し、劣化は避けられません。ならば、経年変化をじっくり楽しむ家があってもいいように思います。「時の移ろいを楽しみながら、手を加え育てていく」。私たちはそうした価値を大切にしたいと考えています。

 

posted by Fuji at 9:14 PM

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